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2001 season 実体験レポート

新人スタッフ 柏木佑 研修レポート
「念願のグランデ・グエッラ挑戦」
2001年1月6日(土)
ISCスタッフ /柏木 佑

[ 目 次 ]
チヴェッタからチンクエ・トッリまで「霧との戦い」
第一目標「馬ぞり」達成!
サン・カッシアーノから昼食まで「雨、風、そして空腹との戦い」
アラッバ、そしてゴールのマルモラーダまで「最終戦」
グランデグエッラ初挑戦を終えて


 チヴェッタに1月1日から6泊滞在していたが、あいにく天候に恵まれない日々が続き、未だ、念願の「グランデ・グエッラ」には挑戦できずにいた。 本日は滞在最終日。“今日こそグランデ・グエッラに挑戦!”と思っていた。が、朝、目を覚まし外を見ると、天候はあいにく雨混じりの雪だった。この分だと中止になるかも?などと考えつつも、グランデ・グエッラの出発に合わせ、午前8時過ぎにカプリーレのホテルを出発した。

 ホテルバスでアレゲのゴンドラ乗場へ向かう。ゴンドラ乗り場に予定通り到着したものの、頼んでおいたガイドが一向に来る気配が無い。30分ほど待っても来ないので、ホテルに連絡してもらい、ガイドの居場所を教えてもらった。すると、スキー場のすぐ前にあるホテル・アレゲから今こちらに向かっている最中だとのことで安心した。しかし、すぐ来るのかと思いきや、ガイドが来たのはそれから15分位経った9時過ぎ。ちょっと時間がかかり過ぎでしょう(怒)! でも、さすがイタリア人だと思った(微笑)。

 ガイドはAngelo(アンジェロ)。歳は50を過ぎたくらいの中肉中背といったところで、わりと気さくな人みたいである。

 探索隊員の間では、今日もグランデ・グエッラは中止だろうなぁと諦めムードであったが、アンジェロの「途中までなら行けるのではないか?」という言葉に、探索隊員13名中8名が参加を決意。 天候も雪で視界もあまり良さそうではなかったが、“せっかく来たのだからチャンスがある限り何でもやらなくてはつまらない!”ですから…ね。
グランデ・グエッラ初挑戦前の準備運動。
(西野隆之さん撮影)

 
チヴェッタからチンクエ・トッリまで「霧との戦い」

 早速、みんなでアレゲ(ALLEGHE)から1番のゴンドラに乗り、ピアニ・ディ・ペッツェ(Piani di Pezze’)へ。そこからもう一本リフトを乗継ぎ、コル・ディ・バルディ(Col di Baldi)へ。そこでアンジェロの友人のイタリア人2人が合流。一人はルイジと言ってやはり50過ぎの大柄な男性。もう一人は名前を忘れてしまったが、肌のつやがよく眼鏡をかけたこちらも大柄な男性だった。総勢11名になったところでプラ・デッラ・コスタ(Pra' della Costa)までの比較的なだらかな中斜面を滑る。プッラ・デッラ・コスタから6番のリフトでコル・フィオレット(Col Fioret)まで行き、ペスクル(PESCUL)まで一気に滑り降りる。このコースはなかなか長く、すべり応えたっぷり!
 
 チヴェッタ・ペスクルから次のスキー場、ちょうどコルティナの西側辺りに位置するパッソ・ジャウ(Passo Giau)までは、バスでの移動となる。ペスクルまで壮快に滑り込もうと思っているところに、アンジェロが突然、「バスの時間が9時40分だから」と言い、スピードをアップし始めた。時計を見ると、何と後10分しかないではないか!?これは飛ばすしかないと張り切り、俗に言う“暴走スキー”でなんとか下まで辿り着いた。

 高校までは真剣にスポーツに取り組んでいた私も、今や当時の面影などまったくなく、かなり息が切れてしまった。スキーってこんなにキツイスポーツでしたっけ?

 何はともあれ、みな無事にバスの時間に間に合った。って疲れてたのは私だけだったのかも?後はバスの中でこの乱れた呼吸を整え、次に臨まなければ。

 バスで2〜30分移動し、フェダ-レに着く。ここからまたリフトで上がるのだが、ここまで寒いと感じることがなかった。身体を動かしているせいかなぁと思い、とにかく先へ先へと進んだ。 なんていったって、馬ぞりの地点までは辿り着かないと、自分の目的が果たせないってもんですから。

 ヌーヴォラウ(Nuvolau)とチンクエ・トッリの脇を滑り、バイ・デ・ドネスまで滑ったのだが、天候は相変わらず回復の兆しがない。リフトに乗ってても周りは真っ白で景色がねぇ...このヌーヴォラウの上からファルツァーレゴまではほぼ横の移動で、景色を見ながらスキーを楽しむコースらしいが、あいにく今日は霧に包まれていた。天気が良ければ最高なのに...と何度思ったことか。

 下に滑っていく程、雲よりも下に来るため、視界は多少マシになる。でもそこでまた諦めきれず、晴れてればなぁ...と何度も考えてしまう。なぜって、見えるのは山の下の部分だけで頂上は姿を見せてくれないから。山の説明されても見えなきゃイメージなんて湧かないよ!

 
第一目標「馬ぞり」達成!

 ちょっと気分が萎えてきたが、アンジェロが言うには、馬ぞりの地点までは後もう少し(バス・リフトを一回ずつ乗り滑れば辿り着く)。気を取り直し再びバスに乗り、パッソ・ファルツァーレゴ(Passo Falzarego)まで行く。そこからゴンドラにてラガッツォイ(Lagazuoi)の山頂へ。

 しかし、リフトを降りてみると、また、霧、霧、霧!本当に何も見えないよ〜。はぐれないようにみんなで固まって滑ることに。それでも20mも離れてしまうと前の人を見失いそうになるほどの濃い霧だった。 最初は途中までの予定で出発したが最後まで行けそうなので、途中で、参加者の皆さんに「最後まで行けそうなので、大丈夫なようだったら行ってしまいましょうか?」と尋ねたところ、皆さんから賛成をもらったので「ヤッタ!念願のグランデ・グエッラに完走できる」と思っていたが、そんな思いも打ち砕かれそうなぐらいの霧との戦い。もう無事に帰れることを祈るだけだった。まさに名前の通りのツアーになってしまったなぁと実感。

 こんな霧の中を何とか進み、ようやく霧から逃れられた。と、何か下に見えるぞ!小屋だ!アンジェロの提案でここのリフュージョ(山小屋の意)にて休憩をすることに。ここで私はお気に入りのカフェ・コレット・コニャック(コニャック入りのコーヒー)とストゥルーデル(リンゴやチーズなどを混ぜてパイ生地で包みオーブンで焼いたオーストリアのケーキ)を食べ、元気回復。ただ、このカフェ・コレット・コニャックちょっとコニャックの匂いが強すぎた。まだまだお子様の私はもっと砂糖を入れるべきだったなぁとちょっぴり後悔…この先、大丈夫かなぁ、でも、まぁ景気づけにはなったであろう。

リフュージョの前にて
(柏木撮影)
 軽くアルコールも入り、気を取り直して滑っていると、なにやら異臭!クッ、臭いぞ!と。しかし、そこは私が“ここまでは行くぞ”と目標にしてきた馬ぞりの出発地点じゃないか。ようやくここまで来たんだなぁ。あぁ、匂いは臭いけど、そこで小さな感動を覚えた。

 ここは標高が低いだけあってさすがに霧もなく、視界もバッチリ。鈴の音が鳴り響く中、いざ、馬ぞりの出発だ。人数が多いと3頭で引っ張るらしいが今回は2頭の馬が先導してくれた。

 この馬ぞりでの移動は5分程度のものでしたが、スキーを履いたまま馬に引っ張られるなんてめったにできない体験なので、とっても楽しかった。それにこのロープを放したら後は自分でこの平坦な道を漕いで行かないといけないと思うと、ちょっとしたスリルも味わえたしね。

 まずは最初の目標を達成し、満足、満足であった。
馬ぞりの終点。右奥に見えるのが馬。
(柏木撮影)

 
サン・カッシアーノから昼食まで …「雨、風、そして空腹」との戦い

 目標達成の自己満足に浸っていると、今度は腹が減ってきた。時計を見るともう昼過ぎじゃないか。ガイドのアンジェロに昼食はどこで取るかと聞くと、「リストランテまでは後2本リフトを乗っていかなきゃ」と言われたので、空腹に耐えながら、今度はそれを励みにがんばることに。

 サン・カッシアーノ(S.Cassiano)のからのリフトでアンジェロと話していると、それまであまり気にならなかった雪が雨に変わってきた。「え〜、なんでイタリアのスキー場まで来て雨に降られなきゃならないんだ。新潟じゃないんだから、勘弁しておくれよぉ。」 アンジェロも「こんな天気(スキー場)は初めてだ」と言ってたけど、標高1800m付近にも関わらず雨なんて...何てことだ。よりによってこんな日に雨にならなくってもいいじゃないか。

 ただ、天気がおかしかったのはここだけではなかった。もう一人のイタリア人同行者ルイジが娘さんと電話で話すと、彼女もその日オーストリアのスキー場で滑っているらしいのだが、そちらは何と気温15度位 で日光浴もできるほどだと言う。晴れだからいいのだろうけど、それも変である。どっちがいいってそりゃあ、晴れてる方だけど今日はどこもおかしな天気なんだとあきらめることにした。

  チェアリフトからTバーリフトに乗り継いで行く。すると、またしても霧。おまけに雨と風も吹いていて結構ツライ。もう自分がどこにいるかなんてわからないし、私は早くリストランテに入りたいよ〜と軟弱な気持ちでいっぱいだった。

 ところが、ようやく辿り着いた昼食予定の場所は満員で次の場所を目指すことに。嘘?かなりショックだ!とにかく次のリストランテが早く現れることを祈って、皆の後についていった。
そして、おそらくプラロンジャ(Pralongia)を過ぎたあたりだろうか。そこでようやく昼食にありつけた。アルタ・バディーア(AltaBadia)のエリアだと思うが正確な場所が思い出せない。何しろ、ブーツはあたるわ、雨でウェアーは湿ってくるわで弱気の塊のようになっていたもので...とにかく小屋に避難できたことにホッとした。

 腹ごしらえをして、ここで元気を取り戻したいところだ。昼はきのこのパスタを注文。そして、赤ワイン。誰かがピッチャーで注文していたようで、私にも回ってきた。こりゃあ、幸せだ。私は、ニョッキ以外のパスタ料理は大好物で、パスタを食べてれば文句はないのにそこへ、赤ワインまで登場とは。天の恵み?もともと飲むのは好きだがアルコールに弱いので1、2杯飲んで早くもいい気分に。これで再び滑る気持ちになってきた。なんとも単純だが、その方が都合がいいことも多いのだ。

 ちなみに、ここのリストランテでおいしかったのは、ルイジが頼んだカッレ’(CARRE')という豚のロース。素晴らしい味だった。私はグルメではないので細かい味はよくわからないが、ルイジのお薦めだし、たぶんヴェジタリアンを除けば、誰が食べてもおいしいと言うだろう。

 それにしても、グローブも帽子も雨でビショビショだ。ゆっくり乾かしたいが、そんなことをしていたらグランデ・グエッラを完走できない。我慢するしかなかった。  
 14時15分頃、気を取り直して再出発。時間は短かったが、この昼食時間はきっとみんなにとってもいい休憩になったことだろう。

 
アラッバ、そしてマルモラーダへ…最終戦

 昼食を済まし、そこからは、まずアラッバを目指す。パッソ・カンポロンゴ(PassoCampolongo)を滑り、セッラ・ロンダ(Sella Ronda)の麓のベック・デ・ローチェス(Bec de Roces)からセッラ・ロンダを背に一路アラッバへ。
天候はまったく回復の兆しを見せず、相変わらずの霧、雨。雨なんてますます強くなってくるいっぽうだ。視界が悪いだけに斜面の変化がわかりにくく、私だけではなく、皆、本当に苦労していただろう。だが、そんな状況も昼に飲んだワインが効いたのか、お陰で気分が萎えるのを押さえてくれているようだった。

 ひたすら滑っているうちにアラッバに到着。ここまでくればゴールまではもう一息だ! しかし、ここでもう最後の試練がまっていた。アラッバの麓からゴンドラ乗場までの100m程の登り。板を担いで上らなくてはならない。辛かったぁ。ルイジともう一人の同行のイタリア人は「ここを馬で引っ張ってくれぇー」と言っていたが、まさにその通り!ここにも馬は必要だ。

 でも、現実、馬はいない。自力でしっかり上りましたよ。私は最年少ですから、決してそこでへこたれるわけにはいきません。なんてったって自分の3倍近い年の方もいるのですから…ね。本当に尊敬します。八木原孝さんはいつもニコニコ、元気だし、楓山一登さんも黙々と滑っていらして、さすがだなぁという感じでした。やはり視界の悪さには苦労していらっしゃったみたいでしたが、そんなことはあまり感じさせませんでしたしね。

 アラッバからテレキャビンでポルタ・ヴェスコヴォまで登り、続いてTバーに乗り継ぎ、グランデグエッラはいよいよクライマックスへ。最後のリフト、12番チェアリフトに乗り、パドン(Padon)に到着。ここからゴールのマルガチャペラ(MalgaCiapela)まではとにかく滑るのみ。頑張るぞぉ!ウェアーもグローブも相当濡れて開き直っていたせいもあり、ゴールを目前に元気になってきました。時間もまだ3時半位だし、夕方までには完走できそうだ。

 マルモラーダ(Marmolada)は一昨日にも滑ったコースだが、麓近くなるまで同じコースだとは、気づきませんでした。天気が違うとこうも見え方が違うのか、と驚きでした。ここからは一度滑ったコースなので、ゴールが本当に間近であることはしっかりと実感していました。

 もうすぐ、念願の完走を果たせると、私はウキウキしていた。 ところが緩斜面を滑っていると、参加者の隅田和子さんが突然、派手に転倒してしまい、顔から雪に突っ込んでしまいました。どうやら新雪が水を含んで硬くなり板に引っかかってしまったようです。でも、実はこれが、ルイジ達や参加者みんなに笑いと元気を与えたようです。
晴れた日のマルモラーダ麓。
写真は楓山さん、橋本さん。
(西野隆之さん撮影)
(隅田さんには災難だったと思うので申し訳ないですが…。ただ、名誉回復の為に言っておきますが、この隅田和子さんの滑りは力強く、イタリア人のガイドたちが口をそろえて「彼女はうまいね」と言うほどの腕前なのですよ。)

 そうこうしているうちに、とうとうゴールのマルガチャペラに到着!時刻は午後3時50分。約7時間の道のりだった。まさに途中は天気(霧と雨)との戦いでしたが、天気が悪かった分、景色に気を取られることもなく、ひたすら前に前に進んだ為、通常より早いゴールを果たせたようです。
当初の予定に反して完走できたことに、何よりも、満足、満足、大満足!

 満足感をかみしめながらもかなりの悪条件だった事、途中でへこたれそうになったことを思い出し、きっとみんなもぐったりしているかなぁと思い振り返ると、何てことはない。さっそく完走を祝してグラッパで「かんぱぁ〜い!」だって。 すごい元気ですよね。途中に休憩があるとはいえ、7時間もスキーをして、その上、1月2日からこの挑戦の前日までは5日間も連続でスキーをしているのに…なんてタフなんでしょう。

 年を重ねてもいつまでも元気で滑っていられるよう日ごろから鍛えなければと、日頃の生活に少し反省しました。

 興奮もまだ冷め止まない中、ゴールのマルガチャペラからはバスでカプリ−レのホテルまで帰りました。

 
念願のグレンデ・グエッラ初挑戦を終えて

 このグランデ・グエッラ、コースには難しい斜面はさほどないものの、前半部分はバスの時間との関係があるため、少々スピード調整が要求されることもあります。もちろん、このコースの魅力の一つは、景色を楽しみながら滑るということですが。

 今回は、残念ながら最後まで天候が好転しなかったので、景色の素晴らしさのレポートはあまりできませんでしたが、 しかし、霧の間をぬったわずかな隙間から見た景色にもその絶景の片鱗が感じられたので、“晴れた日の挑戦であれば”その素晴らしさは保証できると思います。 
1月2日チヴェッタにて。
(西野隆之さん撮影)
 それに総移動距離約80km(スキーでは約40km位)を一日で滑ってしまうのだから完走の達成感はなんとも言い表し難いものがあります。是非、多くの日本のスキーヤーにこのグランデ・グエッラコースを体験していただきたいです。なんといっても最悪な天候の中で挑戦したグランデ・グエッラだって、こんなにも大満足なのだから。


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